Siteseeing tour  社会科見学 ハザマの仕事
Siteseeing tour  社会科見学 ハザマの仕事  

建設アウトサイダーのイワサキ (イラストレーター)&フジタ(ただの工事現場フリーク)がハザマの仕事場を訪問、見学記をお送りします。

おことわり:サブタイトルのsiteseeingは造語です

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第1回 都心地下に高速道路と換気所をつくる 深さは54m、大深
度 巨大な地下空間をどうやって掘るか?
今回訪ねたのは、山形県長井市で長井ダムを建設中の現場(ハザマ・前田・奥村特定建設工事共同企業体)。

学習テーマは、「ダムのつくり方・いまどき風♪」
イワサキ「どうして、いまどきって、ことわりが入るの?
フジタ 「いい質問だねえ。イワサキくん。長井ダムはいまどき風にダムをつくるために、いろんな工夫があったから
イワサキ「はあー。でもわたしは昔を知ってる年じゃないから、何がいまどきなのか…
フジタ 「(プチッ!)年の問題じゃないのね。パンフで予習!

 はい、「ハザマ健児の唄」を歌ってる間に、山形新幹線は赤湯温泉駅に到着。

長井ダムを右岸から撮影



■東北最大級のダム

長井ダムは山形県長井市、置賜野川に建設中の多目的ダム。洪水調節、発電、水道用水確保などに利用される。
大きさは…高さ125.5m、長さ381m、と言われても、ダムとして大きいのか、普通なのか、数字に弱いフジタにはピンとこない。この大きさは東北地方で最大級、できあがるまでに10年かかるっていうほうが、すごさが分かる気がする。今の時代に10年がかり…。そう、すごいんです。

フジタ「10年前何してた?
管理人「やっぱり独身で、ハザマで元気いっぱい働いてました!
フジタ「・・・
新入社員に聞けばよかった。ムダな質問であった。

■昼・堤体の上へ

2005年7月、現場では180人の人が働いていた。うち40〜50人は夜勤。ここは昼夜兼行。暑い夏のコンクリート打設は夜間に行われている。
その大所帯を取り仕切るのは、三浦健二所長。

現場の皆さん。前列右から3番目が三浦所長。
今日のコンクリの打設は夜の8時からなんだよ。夕飯食べてからもう1回来る?
のっけからの三浦所長の言葉に、管理人、イワサキ、フジタの間に無言の電波飛ぶ。『ってことは、夕飯の時、ビール飲めないってことね〜、トホホ』
でも、ビールは毎日飲めるが、ダムのコンクリート打設が見られるのは一生のうちで今夜だけかもしれない。
はい、お願いします」仕事熱心!

昼のうちに、堤体の上に立つ。3パートに分かれた堤体上では、それぞれコンクリート表面の清掃や、重機の手入れ、型枠の移動などが行われている。
一番手前のパートでは、あちこちに設置されたスプリンクラーが、回転しながら勢いよく水まきをしている。ここを通り抜けないと、重機の近くに行けない。
じゃあ、あとについてきてね!

所長を先頭に、3Dのシャワーの中をくぐりぬける。すごい!全く濡れずにクリア!さすが所長だ!
 堤体上は重機の展示場。コンクリートを運ぶ25トントラックの車輪は人間の背丈よりはるかに大きい。遠くから見ていると広大に思える堤体上がごく普通の現場に見えたり、重機が思いのほか大きかったり、遠近感がごちゃごちゃになる。
昨夜打ったコンクリートは水に洗われ、骨材が見えている。遠くからは砂のように見えるコンクリートの中に、かなり大きな骨材が入って入ることが分かる。




じゃあ、戻るよ。またついてきて!
 もう一度3Dシャワーを通り抜けないと帰れない。でも所長がいるから大丈夫って…帰りはびしょぬれだった…、弘法も筆のあやまり、高名の木のぼり、ジーコの監督、なのかあ…。それともさっきはただのラッキー!だっただけ?

■いまどき風その1・ハザマクライミングリフト


できるだけ、山を切り崩さないように、工事に必要な設備を、将来はダムの底に沈んでしまう河床に集中させたので、コンクリートをどうやって高くなっていく堤体上に揚げるかが大きなテーマでした
そこで採用されたのが、写真に見えるハザマクライミングリフト。名前の通り、ハザマで開発された。港湾などの運搬用クレーンを原型としている。
ダムで使われるのはぐる〜っと回るタワークレーンが多いが、これは、コンクリートをバケットで上げる→横滑りして堤体の上に移動させる→下で待ってる25トンダンプに下ろす、といういたってシンプルな働きながら、3分半で9m
を運べるという優れもの。25トンダンプそのものも、上げ下ろしできちゃうのだそうである。

■いまどき風その2・超硬練りコンクリート


ダム建設にとって、スピードアップは大きなテーマ。このクレーンとRCD工法で、最大限の工期短縮、コストダウンにがんばってきたんですよ
ではここで、今日のテーマの一つ、いまどきのスピーディで経済的なダム施工を可能にしたRCD工法のコンクリートについて。
コンクリートの問題は引っぱり力に弱いこと、それでヒビが入ること
ふむふむ

どうしてヒビが入るかと言うと、コンクリートっていうのはセメントと水が化学反応を起こして固まるわけだが、その時に発熱する。コンクリートの内部は35度(!)近くにもなるから、外気と接しているところとの温度差が生じて、ヒビの原因になる
むむむむ、35度!

ということは、発熱を最小限に抑えられればいいわけだよね
うむ

発熱を抑えるには、セメントの量を減らせばいい
ほー

そこで、フライアッシュという火力発電所から出る灰を混ぜて、セメント量を減らすのと同時に、その性質によって熱のピークを下げることができる。これによって強度、耐久性がありながら、セメント量の少ない経済的なコンクリートが打てる。ねえ、話についてこれてる?
え?ばっちり!その熱はいつごろ冷えるんです?

10〜20年かかる。完全に冷えるには30〜50年かかるとも言われる。だから、ダムに水がたまっても、堤体の中は温かいんだよ
!!!!

しかもコンクリートを打っている間はこの熱だまりが堤体の中を移動している
!!!!

硬いコンクリートの中で熱が移動(これを熱交換とか還流とか言うそうだ)している!「コンクリートは冷たい」とか、「無味乾燥な」とか、ちがうじゃない。
ビルの建築で使うコンクリートは打ったあとに人が載ったら足が沈むでしょ。でもここで使ってる超硬練りコンクリートは、締め固めたらすぐ車が走れる状態になる。そうじゃないと、あれだけたくさんの重機が乗っかれないからね
あー、そうか、ダンプとかブルの跡がついてたら大変だ
(ホントにわかってんのかなー)という不安が所長の顔をよぎっていた。

堤体の温度はこのように中心が温度が高いのですが
(クリックすると大きくなります)

堤体が上がるにつれて、熱だまりは移動していきます。
(クリックすると大きくなります

■夜・コンクリート打設


所長じきじきのお迎えに恐縮しながら現場に再び向かう道すがら、遠くの山あいの空がオレンジ色に美しく燃えているのが見えた。あそこが現場だ。低くたれこめた雲に現場のライトが反射して、円盤でも着陸したのか?という妖しい光を放っているのだった。

クレーン2基、25トンダンプ3台、ブルドーザー、締め固め機(バイバック)がリモコンで操作されているかのように無駄のない動きを繰り返している(もちろん、指揮の人が無線でオペレーターたちに指示を出してる)。もう少し打設が進めば、転圧機や目地切り機なども参加してくる。

繰り返しの作業に見とれて飽くことがないのは、プラレールに飽きることない子どもの気分。目の前で繰り広げられている光景の壮大さに言葉が出ない。

昼は休んでいるとはいえ、夜の山の中で、重機をコントロールし、安全に作業を進めるのは集中力のいる重労働だ。作業を見せていただいた感動を感謝すると共に、従事するみなさんの安全と健康を祈らずにはいられない。
■いまどき風その3・自然との共生

「まだ何もない現場に立って、どこに仮設をつくろうか、基礎構造物はどうしようか、工事用の道路はどうつくったらいいか、コンクリートと骨材の配合はどうやったらうまくいくか、そういうことを考えるのが、ダム工事の醍醐味なんだよね」
 いかに山を切り崩したりせずに、自然の改変を最小限に食い止めて工事を進めるか、「いまどきのダム工事」はここから始まっていた。
しかも、動き出しそうな斜面をアンカーで押さえたりしながら、工事は気温が−10度、積雪が2mに達することもある冬の間も休みなく続けられた。
「コンクリートの打設が始められれば、ある意味の一段落。これからはいかにヒビわれの少ないダムを作るか、の勝負。ある程度のひび割れは想定内だけれど、ひび割れの少ないダムをすくるのは技術者のプライドだからね」

 コンクリートの打設は、豪雪地のため、冬季4か月は休みになる。工事は予定以上のスピードで進んでおり、ダムの高さは85mを超えた。平成18年での打設終了を目標に、天気予報とにらめっこの毎日だ。暑さ、寒さ、風、雪、気象条件の厳しい中、地域の人たちの期待を担って、ダムは立ち上っていく。

こちらが、現場の皆さんの助けになるようにと
つくられたモノレールです!