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カテゴリー:社員ブログリレー

2006年04月07日

ところは東京港区南青山墓地の夕暮れ時…

本店土木事業本部の大薮です。

『桜の下で、ブルーシートに座って、騒いで酔いどれて…なんだか気に入らないな』
「そうかなー。満開の桜の下で、皆でワイワイやるのも楽しいぜ。桜も喜ぶ」
『桜はそう思ってるかなぁ…』
「どういう意味だ…」
『一輪の桜花が咲く一瞬をじっと見させてもらうのが桜への畏敬のように思う』
「桜への畏敬?。何だ、しんみりして。暗い墓地でおかしくなったか?」
『“桜の花は夜、桃色のつぼみをそっと開いた瞬間、ハッと恥ずかしそうに花びらをとじ、そしてゆっくりと花ひらく。まるでこの世へ出て驚いたかのように…”。それはほんのわずかな出来事で、あとは花吹雪が語る』
「ほんとかぁ。そんな話初めて聞いたよ」
『生けるもの、形あるものすべて意味を持って生かされてる。これが日本人の宗教観、品格だよ』
「品格…品格ねぇー、難しいなぁー、わかんねぇー」
『難しくなんかない。相手を思う心だよ。すべては流動的、相互依存的、相対的なんだ』
「???よけい分からなくなってきた…」
『宇宙大河は、無数の一滴が寄り集まって成り立っている。ばらばらで一緒…』
「ひょっとして、桜にもこの世に生まれた“役割”があるんだ、っていうことか?」
『そうだ、そのとおり…。バラバラで一緒…』
「なんだか…般若心経…、おかしな気分になってきた、やばいよ、やばい…」


ときは30年前。西新宿に夕陽が沈むころ…
『参ったよ…』
「何がだ?。今日は朝早くから地下鉄の大掛かりなコンクリート打設が終って、ホッとしたところなんじゃねぇーのか」
『そうなんだ。何とか工事の難関を一つ超えることができた』
「良かったじゃねぇーか。そりゃぁごくろうさん…おめでとさん…」
『それがなぁ…。終わって地下から外に出てうまい空気をすってたら、すぐそばの横断歩道を母親と小さな男の子が渡ってた…』
「静まりかけた都会の夕暮れ時、仕事を終えた充実感の中、小さな手を引く親子連れの姿が目に入って、さぞかしホッコリしたろうなぁ…。お前のことだから、ちょっとばかり悦にはいってたんだろう?」
『あぁ…最初、目に入ったときはな…』
「???」
『妙な静寂があって、ひょっと、親子連れの会話が耳に入った』
「へー。あんな雑踏の新宿でかー。それで…」
『母親が子供に話しかけてた。“勉強しないと‘あぁ’なるんだよ”だってよ!。しかも俺の方を指差して…』
「何だ!。ずいぶんむかついてるようだな。最高学府の最高峰を出たお前にとってはショックだったか…。鬼瓦みたいな真っ黒な顔と汚れたその格好じゃ無理ないか…、でも心配するな!。鼻毛は出てないし、そのやさしい眼と白い歯がいい」
『ショックってことはないが、ちょっと気分悪かったぜ。勉強しないなれの果てが俺なんだ…。コンクリートや油、泥、汗にまみれた自分の姿を見てがっくりもしたし…』
「何いってんだ!。そんな土木屋が好きで国造りを夢みて、俺もお前もこの3Kと呼ばれた仕事についた。分からない奴はほっときゃいいんだよ!」
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『そうかなぁー。そうだなぁー。また明日から次の難関が待ったなしでやってくる。とにかく与えられた仕事を頑張るしかないか…』
「情けない顔するな!。かよチャンがお前の帰りを待ってるぜ!」


建築には建築屋と建築家がいて、先生と呼ばれる民間人もいる。この分別はよく理解できない。
何故だか、土木には土木屋しかいない。
100数十年以上も続く歴史を持ち、就業人口の一割を占める建設産業が、わずかな時の守旧と改革の錯誤で、時代の方向を見失うことのないよう願うものであります。

写真は[間組百年史下巻 235ページ]
***トンネルからダムサイトを見る男の写真***


投稿日時 : 2006年04月07日 10:58

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